せっかく新しい庭を手に入れても、なかなか庭づくりにまで手が回らないという方は多いのではないでしょうか?
そんなときには「球根植物」がおすすめです。チューリップやヒヤシンス、アネモネなどが有名ですが、有名な球根植物の多くは、花が枯れた後に球根を土から掘り出さなくてはいけません。
今回は、植えっぱなしで放っておいても、翌年また芽を出してくれる球根の花々を紹介していきます。
どうして植えっぱなしでいい球根とダメな球根があるの?
同じ球根植物なのに、球根を土から出す「掘り上げ」をしなくてはいけないもの、しなくていいものがあるのは不思議ですよね。
その理由は、何のために「掘り上げ」をするのかを考えるとわかります。「掘り上げ」は土の中で球根が傷んでしまうのを防ぐために行います。例えば、チューリップの場合、もともとは涼しい高原に咲いていた花なので、日本の夏の高温多湿な状態に適応できないのです。チューリップの球根をそのまま土に残しておくと腐ってしまったり、発芽しなくなったりします。球根植物の種類によっては、冬の寒さが苦手で、冬に「掘り上げ」が必要なものもあります。
つまり、「掘り上げ」は暑さや寒さ、湿気などを避けるためのものなので、日本の気候に合った球根植物をはじめから選んでおけば、面倒な掘り上げ作業はしなくても大丈夫というわけです。このような植えっぱなしで毎年咲くタイプの植物は、「宿根(しゅっこん)」タイプと呼ばれます。
毎年咲く球根植物4選
宿根の球根植物の中でも、ガーデニング愛好家のあいだで「毎年咲いてくれる」という声が多く聞かれる植物を厳選してご紹介します。
また、球根植物には毒が含まれることが多いため、ペットがいる場合には注意が必要。有毒かどうかもあわせてご案内します。
ムスカリ
【開花時期】3〜5月中樹
【植えつけ時期】10〜11月
ガーデニングで人気のムスカリ。名前は知らなくても見たことがある人は多いのではないでしょうか?
ムスカリは実に18年にわたり毎年花を咲かせているという情報もあるほど。肥料も必要なく、土と水だけで、毎年元気に咲いてくれるガーデニングの救世主のような存在です。
丈夫な性質で、栽培がうまくいけば何年にもわたって咲いてくれるムスカリ。一年草を選ぶときよりも慎重に、本当に気に入った品種を選びましょう。
紫がかったブルーのムスカリが一番よく見られますが、最近は白や水色、白とブルーの2色咲きといった新しい品種も出ています。
ムスカリには毒がなく、ペットがいても安心です。
スイセン
【開花時期】11〜4月頃(品種による)
【植えつけ時期】10〜11月
日本人にはなじみの深いスイセン。白一色や白い花びらに中央が黄色の品種がよく見られますが、最近はピンクやブルーのスイセンもあります。
開花時期は、品種によって異なりますので、庭が寂しくなりがちな時期に花を咲かせるスイセンを選ぶといいですね。
また、スイセンは香りも魅力の一つ。ほのかな甘い香りは香水の原料にも使われます。
ただスイセンにはすべての部分に毒が含まれているため、ペットが葉などを食べてしまわないように注意が必要です。
クロッカス
【開花時期】2〜4月
(秋咲きの場合は10〜11月)
【植えつけ時期】10〜11月
(秋咲きの場合は9月上旬〜中旬)
クロッカスは、水耕栽培で楽しむ花としてもよく知られている花。
早春に咲くことから、春の訪れを知らせる花として日本で古くから親しまれています。まっすぐに上を向いて咲く姿はかわいらしく、花の茎が短い特徴があるので、背丈のある花と組み合わせると立体感のある庭が演出ができます。
花の色は、単色の紫、黄色、白がよく見られますが、一風変わった新種も出ています。
下が黄色で上がブルーの2色の花びらをした品種や、白に紫の縦じまのような模様がある品種など、お気に入りを探してみてはいかがでしょうか?
クロッカスには人にとって毒になる成分はありませんが、ペットが球根を食べてしまうと低毒性の毒があると言われており、注意が必要です。
アガパンサス
【開花時期】5〜7月
【植えつけ時期】4月中旬〜6月上旬
アガパンサスは公園や緑地でもよく見られる花です。特別な手入れをされていなくても、毎年枯れることなく、咲いている姿が見られます。庭に植えても、育てやすい花と言えるでしょう。
アガパンサスは、暑さには強い性質がありますが、寒さにはやや弱いので、寒冷地では寒さに強い品種を選んで植えるとよいでしょう。
大型のものは背丈がは80センチほどにまで生長するため、鉢植えよりもしっかりと根を張ることのできる地植えに向いています。
アガパンサスには毒がなく、ペットがいても安心して育てられます。アガパンサスと形が少し似ているヒガンバナは、リコリンという毒があるため、散歩のときなどは注意してくださいね。
毎年咲かせるための注意点
ご紹介した球根植物を毎年咲かせるためには、少しだけ注意が必要です。園芸用の花の場合、害虫がついたり腐ってしまうのを防ぐため
に、花が枯れたらすぐ片付けたほうがよいとされています。
しかし、球根植物の場合には、葉の部分は片付けてはいけないと言われています。
花が終わった後はまず花がら(咲き終わった花)を摘みとります。花を残しておくと結実するために栄養を使ってしまうので、球根にはよくないのです。
葉はそのまま残し、光合成をさせることで、球根に栄養が回り、太ってきます。
葉だけが残っている状態は、見た目はあまりよくありませんが、翌年も楽しむためには必要なことです。
葉が黄色っぽく枯れてきたら、地上部は片付けてしまって大丈夫です。
水やりを忘れないためにも、球根のある場所には花の名前のタグをさしておくとといいですね。
球根植物の植えかた
もともとは自然界で自生していた球根植物は、あまり難しく考えず土に植えても発芽してくれます。
より発芽しやすくさせ、発芽した後もよい環境で育てるためには、植える深さと植える間隔に気をつけましょう。
【植える深さ】
球根を地面から球根3つ分くらいの深さに植えつけます。浅すぎると、球根が霜にやられてしまうことがありますので注意しましょう。
【植える間隔】
球根と球根の間は1~2つ分あけます。植える場所の土は。根がしっかり伸びるように30センチほどは耕しておきましょう。
発芽前後の世話
発芽する頃になったら、土が乾かないように水やりをします。
発芽が確認できたら、少し水やりを減らします。伸びてきた根が、根腐れをしないように土が乾くのを待ってから、たっぷりと水やりをします。
それぞれの球根植物によって性質は異なりますが、基本的には、水やりをしすぎないよう注意します。
休眠期の世話
球根植物の花の時期が終わり、土の中に球根だけになっているときを「休眠期」と呼びます。
休眠期の球根には基本的には何もしなくで良いのすが、雨が降らずに乾燥が続き、土の表面が白っぽく乾燥している時には水やりをします。
球根植物の寿命
何年にもわたり咲いてくれる球根植物にも寿命はあるのでしょうか?
実は土の中で、球根は、毎年新しい球根を作っていて、そのはたらきは「分球(分球)」と呼ばれています。球根植物は、分球のおかげで何年も咲き続けることができるのです。
植えたものとまったく同じ球根が、芽を出さなくなっていても、新しい球根が花を咲かせてくれるので、人の目には同じ花が何年も咲いているように映っています。
分球のしかたは、種類によってさまざまですが、一つの球根に対して、いくつか分球されることが多く、分球がうまくいくほど、地上に出る花の数は多くなります。
球根植物を長い間楽しむためには、分球に備えて、初めに植えるときに十分な間隔をあけて植えるのがコツ。もし、間が詰まってきたら、植え替えをする必要があります。
おわりに
球根植物は、球根に栄養分が蓄えられているため、発芽もしやすく育ちやすいという特長があります。「球根」というと取り扱いが大変そうですが、実際はかえって育てやすいのですね。
植えっぱなしで大丈夫な種類を選べば、さらに管理がしやすく、毎年咲く時期が楽しみになりそうです。
球根の植えつけ時期は年に一度だけなので、開花時期に花の咲いた状態で購入して植えるのもおすすめです。
育てやすく、毎年きれいな花を咲かせてくれる球根植物をぜひ楽しんでみてくださいね。
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