ロックガーデンとは、その名の通り、石や岩をあしらった庭のことです。山道では岩と岩の間から高山植物が咲いている姿が見られることがありますが、ロックガーデンでも、石のすきまに植物を配置して、自然に近い雰囲気を楽しみます。
ロックガーデン作りにはこうしなければいけないというルールや決まりはなく、だれでも気軽に楽しむことができます。
初めて挑戦する方向けに、ロックガーデンのメリットやデメリット、作り方をご紹介していきます。
トップ画像引用:RoomClip
ロックガーデンのメリット
ロックガーデンのメリットは、何よりも他のものでは出せないワイルドさやおしゃれ感が出せることです。
ロックガーデンにすることで、植物にもメリットがあります。石が植物を守ってくれるのです。
土の上に石があることで、夏の強い陽射しを和らげることができ、強風で植物が倒れるのも防いでくれます。
雨が続く梅雨の時期などには、植物の根腐れを予防する効果も期待できます。根元に石があることで、過剰な雨水が浸み込むのを防ぐことができるからです。
ロックガーデンのデメリット
植物にとってのデメリットは、石があることで植物の生長に必要な水や空気が通りにくくなってしまうことです。植物の種類を選ぶときに乾燥に強いタイプを選んだり、石の選び方や置き方を工夫する必要があります。
ロックガーデンの作り方
ロックガーデンというと難しそうですが、庭ににいくつか好きな石を置くだけでも立派なロックガーデンになります。
一番簡単なロックガーデンの作り方は、土の庭に、好きな石をあしらう方法です。
土のエリアを石で囲んだり、土の表面が見えないように、小石を敷き詰めるとより本格的な印象になります。
ロックガーデンの石はどこで買えるの?
ホームセンターで売っていますが、大きめのお店でないと取り扱いがないこともあるようです。
石を海や山などで拾ってきてもいいのではないか、という考えが浮かぶ方もいるかもしれません。しかし、海や山は自然公園として管理されていることが多く、石を持ち帰ると違法になってしまいます。
山や海ではなく、保護区域に指定されていない河原の石を子どもの工作用に持ち帰る程度であれば、問題はありません。
ロックガーデンに使う石のすべてを持って帰るのは問題になりそうですから、購入するのが安心です。幸い、ロックガーデン用の石はオンラインでも手に入りますし、お値段もそう高くはありません。
石の選び方
好みに合わせて何でも好きな石を選びたいところですが、植物のためには気をつけたいポイントがあります。
「多孔質」といわれる小さな穴がたくさん空いているような石を選ぶと、植物に必要な水や空気を通しやすくなります。
植物の根元には、小石や砂利など小さなサイズの石を選ぶと、植物に必要な水をせきとめてしまうことなく、暑さから植物を守る効果も得られます。
ゴツゴツした大きめの石が好きな場合も、小石と上手に組み合わせたり、植物の根元には置かないようにすることで、植物が元気に育つロックガーデンになるでしょう。
ロックガーデンの石にはどんなものがあるの?
置くだけで見栄えがする石の具体例を色別にご紹介します。
ホワイト系
石質が硬く、重量があります。材質は石灰石です。
ブラック系
水に濡れると黒さが際立ち、表情の変化が楽しめます。材質は大理石です。
ベージュ系
自然石のため、黄色がかった色からベージュ系まで、一色ではないニュアンスカラーが特長です。材質は大理石です。
レッド系
他にはない赤味のあるカラーが特長で、水槽のレイアウトにも使われます。材質は天然の溶岩石です。
見ているだけで、庭づくりのイメージがふくらんできますね。
4種類の中では、最後に挙げたレッド系の溶岩石が多孔質です。
多孔質の石には、水分と空気を通しやすいメリットがありますが、表面は軽石のようにボコボコとしてます。なめらかな石の方が好きな場合には、レイアウトで水分と空気の通り道を確保するようにしましょう。
例に挙げた石はオンラインで購入が可能です。オンラインのメリットは、じっくり時間をかけて検討できたり、車などの輸送手段がなくても配送してもらえることです。
手触りや重さ、色合いを確かめたい場合には、ホームセンターや園芸店もあわせて利用してみましょう。実店舗は、不要になった石を引き取ってくれるサービスをしている所もあります。
ロックガーデンに合わせる花
ロックガーデンには、石が土に浸み込む雨水を少なくさせることから、乾燥に強い植物が向いています。
自然界で岩場に咲いているような花や、岩場が原産地だったり乾燥に強い性質がある植物がロックガーデン向きです。具体的にいくつかご紹介します。
サボテン
サボテンは一番ロックガーデンが似合う植物かもしれません。画像は沖縄の例です。気候が合えば、サボテンは自身の中に水分を蓄えることができ、とても丈夫な植物ですが、耐寒性はありません。庭に直接植えるには暖かい地域であることが必要です。
冬の寒さが厳しい地域では、後述するように鉢植えでの管理がおすすめです。
ランタナ
ランタナは特に岩場に咲く花ではありませんが、雨の少ない中南米が原産で乾燥に強いことから、ロックガーデンに向いています。
日照りが続く夏場以外は、水やりの必要がないほど乾燥を好む性質があります。
花の色が豊富で、色によって印象が大きく変わります。オレンジやピンクなどの暖色を選ぶとラテン的な印象があり、白や紫色のランタナを選べば和洋折衷のロックガーデンを演出できるでしょう。
スミレ
スミレも岩場が似合う花の一つ。山道には、クモマスミレという雲の間に咲くことが名前の由来になったスミレもあるほどです。
見た目に反して、野生的な花で、植え替え後、根を張った後は水やりの必要もありません。
岩のすきまで咲くことが本来の姿に近く、ロックガーデンにぴったりの花です。スミレは日本古来の花なので、和風のロックガーデンを作りたいときにも向いています。
一年草ですが、環境に合えば、こぼれた種が芽を出し、翌年も花を咲かせてくれます。
ベロニカオックスフォードブルー
ベロニカオックスフォードブルーは、縦長の形が多いベロニカの中でも、タイプが異なり、地面に這う性質を持つ花です。小さく可憐な花でありながら、暑さにも寒さにも強く、植えっぱなしでよく育ちます。
しっかりと根づいた後は、水やりの必要もないほど丈夫です。
地面を這うように育つため、岩のすきまを埋めるように花を咲かせ、ロックガーデンにもよく合います。
裏技!ロックガーデンに鉢植えを
ここまで、土に植物を植える前提でご紹介してきましたが、「土に植えずに鉢植えで管理する」という方法もあります。
ロックガーデンらしい野生味は薄れてしまいますが、管理のしやすさは大きな魅力です。
特に、温暖な気候を好むサボテンや多肉植物は鉢植えの方が寒い時期に屋内に入れられるので便利です。鉢の色やデザインにこだわれば、ロックガーデンを盛り上げるアイテムになってくれるでしょう。
ただし、鉢植えは庭とちがって水分を蓄えられないので、花を鉢植えで管理するときには、適切な水やりが必要になります。
もし、自宅の庭の環境にはどんな植物が合うのかわからないときも、まずは鉢植えで確かめるのは良い方法です。
ロックガーデンづくりの注意点
【石の積み方】
石を積み上げる場合に、石が崩れないように自分でモルタルで固めるやり方もありますが、後々解体することが難しくなってしまいます。
固めなくてもロックガーデンの雰囲気はしっかり出せますので、組み合わせるだけの方法がおすすめです。
ただし、固めずに高く積むと崩れてしまう危険性が出てきます。石を積むのは、2〜3段ぐらいまでにとどめておくと安心です。低くしておけば、崩れた時の手直しも簡単にできます。
庭に高さを出したいときには、あらかじめ地面に傾斜をつけると、石を高く積まなくても立体感が演出できます。
【石の捨て方】
石をたくさん買ってしまうと、処分したいときに困りますので、必要な量をよく考えて購入しましょう。ロックガーデンから他の庭にレイアウトを変更したとしても、置き場所に困らないぐらいの量にしておくのが安心です。
もし、石が不要になった場合、石は普通のゴミのように捨てられないことがあります。石が自然のものであることや、ゴミ処理に使う機械の故障の原因になることから、ゴミとして取り扱ってない自治体も多いのです。
その場合、有料で業者に処理を依頼することになります。また、不要になった石を購入した店や新しく石を購入する店で、引き取ってくれることもありますので、確認してみましょう。
おわりに
ロックガーデンの特徴や、合わせる花、石に関する注意点についてまとめました。
ロックガーデンというと初心者には難しい本格的な印象がありましたが、誰にでもトライできることがわかり、ますます魅力を感じました。
石にもたくさんの種類があり、植物もさまざまは品種があるので、合わせ方次第でオリジナルの庭が作れそうです。
少しずつ石や花、植物を増やして、自分だけのロックガーデンを作ってみたいですね。
コメント